「V60 NEOが出た」と聞いて、気になっている旧V60ユーザーは多いと思います。ただ正直なところ、いまの旧V60で特に困っていない人も多いはず。だからこの記事は、メーカーの紹介でも煽りでもなく、僕が日常で使っている旧V60と、実際に買ったV60 NEOを同じ条件で淹れ比べて、その差を測った記録です。「買い替える価値があるのか、それとも旧V60で十分か」を、所有者の実機比較で判断できるようにします。
- 同一の豆・焙煎度・ロット/豆15g・湯250g(1対16.6)/挽き目固定/湯温92℃/V60用ペーパー/同一レシピで、旧V60とNEOを各3回。
- 抽出時間・TDS・収率は実測値で、味や使い勝手は所有者としての感想です。
- 本記事は所有する旧V60と、購入したV60 NEOの実機淹れ比べに基づきます。リンクの一部はアフィリエイトを含みますが、評価は淹れ比べの結果と公式仕様に基づきます。
- 買い替え推奨度=「買い足し」なら○/「全乗り換え」は急がなくていい(△)。旧V60の味に満足しているなら、慌てて替える必要はありません。
- 実測で出た差=湯抜けがNEOで約24秒速い(落ち切り1分18秒→0分54秒)。甘み・クリーンさはNEOがわずかに上、酸味・ボディは旧V60がわずかに上。濃さ(TDS)と収率はほぼ同じでした。
- 向いているのは「速い湯抜けとクリーン寄りの質感を、もう一台として足したい人」。根拠は下の淹れ比べデータで示します。
今回レビューしたV60 NEO(黒)の購入先です。在庫と価格は各サイトでご確認ください。
NEOで何が変わったのか
V60の誕生から20年。V60 NEOは見た目も構造も大きく変わりました。公式仕様で確認できる主な変更点はこちらです。
- リブ(内側の溝)=72本の極細スパイラルリブ。抽出口の近くで9本に収束する設計で、湯を均一に流しつつ最後の過抽出を抑える狙い。
- 取っ手がなくなり、シリコンゴムの台座に。サーバーやカップへの収まりがよくなりました。
- 材質はPCT樹脂(トライタン)。熱伝導率が低く、抽出中に熱が本体へ逃げにくい=保温性が高い。
- 1〜2杯用(VDN-01)、約150g、口径108mm、日本製。価格は¥1,980(税込・調査時点)。
- SCAJ 2025でのお披露目。iF・Red Dot 2026を受賞しています。
出典=HARIO公式(V60ドリッパー NEO 製品ページ)。最新の仕様・価格は公式でご確認ください。
旧V60との一番の違いは、リブの数と材質、そして取っ手の有無。ここが味と使い勝手にどう出るかを、次の淹れ比べで測りました。

旧V60との実機淹れ比べ
ここからが本題です。所有している旧V60と、今回購入したV60 NEOをまったく同じ条件で各3回淹れ、平均を取りました(豆15g・湯250g・1対16.6・挽き目固定・湯温92℃・蒸らし40秒から三投・スケールはBlack Mirror)。まず数値を見て、そのあとに味と使い勝手の感想をお伝えします。
| 項目(3回平均) | 旧V60 | V60 NEO |
|---|---|---|
| 落ち切り時間(湯抜け) | 1分18秒 | 0分54秒 |
| 総抽出時間 | 2分58秒 | 2分34秒 |
| TDS(濃度) | 1.37% | 1.36% |
| 抽出後の液量 | 212g | 213g |
| 収率EY | 19.4% | 19.3% |
| 酸味 | 4.0 | 3.8 |
| 苦味 | 2.5 | 2.3 |
| 甘み | 3.7 | 4.0 |
| クリーンさ | 3.8 | 4.2 |
| ボディ | 3.5 | 3.4 |
| 淹れやすさ | 取っ手があり扱いやすい | 軽く湯抜けが速い・温度が下がりにくい(取っ手なし) |
数値でわかったこと
はっきり差が出たのは湯抜けの速さでした。落ち切り時間は旧V60の1分18秒に対しNEOは0分54秒で、約24秒速い。注ぎ方をそろえているので、この違いはそのまま総抽出時間(2分58秒→2分34秒)にも表れています。72本から9本に収束するスパイラルリブの効果か、湯がよどみなく抜けていく印象です。一方でTDS(濃度)は1.37%対1.36%、収率EYは19.4%対19.3%とほぼ互角。つまり「同じレシピなら、出てくるコーヒーの濃さ・抽出効率はほとんど変わらない」という結果でした。
味と使い勝手
ここからは僕の主観です。濃さがほぼ同じでも、質感の方向は違いました。NEOは甘み(3.7→4.0)とクリーンさ(3.8→4.2)がわずかに伸び、雑味の少ないすっきりした口当たり。旧V60は酸味(4.0)とボディ(3.5)がやや強く、果実感のあるジューシー寄りです。どちらが上というより、「クリーンで甘いNEO」か「厚みと酸のある旧V60」かの好みの差だと感じました。
使い勝手は一長一短です。NEOはトライタンで軽く、抽出中に湯温が下がりにくい(保温性)のは確かな利点。ただし取っ手がないぶん、淹れたては本体が熱くなり、シリコン台座ごと持つ前提になります。旧V60は取っ手があるぶん、つかんで注いで外す動作がスムーズです。ここは完全に好みと慣れの話です。
参考までに、海外メディアや所有者レビューでも「NEOは湯抜けが速くクリーン寄りで、カップの濃さは大きく変わらない」という声が多く、今回の僕の実測とも一致しました。


買い替えるべき人/旧V60で十分な人
先に正直に書きます。NEOは正統進化ですが、旧V60が使えなくなるわけではありません。だから旧V60に特に不満がなければ、急いで買い替えなくて大丈夫です。そのうえで、判断の目安をまとめます。

買い替えを検討していい人
- 抽出の安定感(過抽出のえぐみが出にくい設計)に魅力を感じる
- 取っ手なし・トライタンの軽さや保温性に価値を感じる
- 1杯ぶんほどの価格で、最新の正統進化を試してみたい
旧V60で十分な人
- いまの旧V60で味に満足している
- ガラスや陶器など、材質や形状の好みがはっきりある(NEOはトライタン樹脂)
- 淹れ方(レシピ)で味を作り込むタイプで、ドリッパーの差を大きく求めていない
最終的には、上の淹れ比べで出た差を見て、自分の優先順位で決めるのがいちばんです。今回の実測では、湯抜けの速さ(約24秒差)とクリーンさ・甘みの伸びはNEOに、酸味とボディの厚みは旧V60に出ました。濃さと収率はほぼ互角だったので、「濃く出したいか」より「どんな質感が好みか」で選ぶのが現実的です。
NEOを活かす豆と周辺
ドリッパーを替えたら、次は豆選びと、注ぎの安定です。NEOのクリーンに出やすい設計を活かすなら、まず豆を見直すのが費用対効果の高い一手です。注ぎが安定する温調ケトルも、味のブレを減らしてくれます。
HARIO V60 ドリッパー NEO(VDN-01)
本記事で旧V60と淹れ比べたモデルです。72本の極細スパイラルリブで湯抜けが速く、今回の実測ではクリーンさと甘みがわずかに伸びました。1〜2杯用・取っ手なし・トライタン樹脂。
HARIO V60用 ペーパーフィルター
NEOでも従来のV60用ペーパーがそのまま使えます。今回の淹れ比べも同じペーパーで条件をそろえました。サイズ(01/02)は手持ちのV60に合わせて選べます。
珈琲きゃろっと お試しコーヒーセット
クリーンに出やすいNEOは、豆の個性もそのまま出ます。まずは少量で試せるので、自分に合う一杯を探すのに向いたスペシャルティの飲み比べセットです。価格・内容は調査時点(2026年6月)の情報です。最新は公式でご確認ください。
V60に合う豆の選び方は 豆の選び方ガイド に、注ぎやすい温調ケトルは ケトルの選び方 にまとめています。
まとめ
今回の淹れ比べでは、NEOは旧V60の完全な上位互換ではありませんでした。TDS・収率はほぼ同じで、濃さや抽出効率が劇的に変わるわけではない。ただし湯抜けは実測で約24秒速く、甘み・クリーンさはNEO寄り、酸味・ボディは旧V60寄りという質感の方向の違いがはっきり出ました。だから判断はシンプルです。旧V60の味に満足しているなら、急いで買い替える必要はありません。一方で、速い湯抜けとクリーン寄りの質感をもう一台として足したい人、最新の正統進化を1杯ぶんほどの価格で試したい人には、買い足す価値があります。
新製品ぜんぶの買い替えを考えるなら、新ギアの買い替え前の判断記事もあわせてどうぞ。ドリッパーを横並びで比べる実測比較は、別途まとめる予定です。

よくある質問
- HARIO株式会社. 「V60 ドリッパー NEO」製品ページ・公式仕様(品番VDN-01 ほか/2026年6月時点).
- HARIO NETSHOP. 「V60ドリッパーNEO」販売ページ(価格・仕様).

