人気のComandante C40は3万円を超えます。手元のTIMEMORE C3で十分な人も多いはずなのに、その差は価格差に見合うのか。この記事は、当ラボが所有するC3とC40 MK4を同じ豆で挽き比べ、均一性・微粉・静電気・味を実測して、どちらを選ぶべきかを正直に整理する記録です。
- この記事では、当ラボ所有のTIMEMORE C3とComandante C40 MK4を、同一豆・15g・同等の挽き目条件で各3回比較しました。均一性・微粉・静電気・味の印象を確認しています。
- 数値は実測したものだけを掲載し、測っていない値は書きません。差が測定ばらつきの範囲に見える場合は、その旨も明記します。味の感じ方には個人差があります。
- 価格・仕様は2026年5月時点の情報です。最新情報は各商品ページ・公式情報をご確認ください。なお、本記事にはアフィリエイトリンクを含み、公式スペック・実測値と当ラボの編集見解は分けて記載します。
結論を先にお伝えします。同じ豆で挽き比べたところ、粒度分布・TDS・収率は大きな差がつきませんでした。一方で、微粉の少なさ・静電気の出にくさ・カップのクリアさと甘さはComandante C40 MK4が上回りました。とはいえC3も価格帯を考えれば十分に健闘し、挽く速さではC3が上です。コスパと速さならC3、カップの透明感や甘さ・挽き心地まで含めて一段上を狙うならC40 MK4、というのが当ラボの結論です(数値は本文で示します)。

TIMEMORE C3 と Comandante C40 MK4、スペックと構造の違い

まず公表スペックの違いを押さえます。どちらもコニカル(円錐)刃の手挽きミルですが、刃の素材と価格帯がはっきり違います。なお、当ラボが挽き比べに使ったのは初代C3、商品リンクは現行の後継C3Sです。基本設計は共通で、結果はC3Sにもおおむね当てはまると考えています。
- 刃の素材 C3はS2Cステンレスのコニカル刃(38mm)。C40は高窒素ステンレスの独自刃「Nitro Blade」で、硬く精密な切削をうたう上位設計です。
- 挽き目の調整 C3は約36段階のクリック調整。C40は35段階で、別売のレッドクリックスを使うとさらに細かく刻めます。どちらもドリップを中心に、幅広い挽き目に対応します。
- 容量・サイズ 一度に挽ける豆はC3が約25g、C40が約40g。C40のほうが大容量で本体も重く(約740g)、C3は軽量でコンパクトです。
- 価格帯 C3がおおよそ1万円前後、C40がおおよそ3万円前後。約2万円の差がこの記事の論点です。価格は変動するため、最新は各商品ページでご確認ください。

ここまでは公表スペックの「事実」です。問題は、この設計差が実際の挽き上がりにどれだけ表れるか。次の章で、同じ豆を挽いて確かめます。
同じ豆で挽き比べた結果

同一の中煎りウォッシュド豆を15g、C3は18クリック、C40 MK4は24クリックと、中挽き近傍で粒度分布が近くなる設定にそろえ、C3とC40を交互に各3回挽いて測りました(RDTなし)。以下はその実測値です。
均一性(粒度のそろい方)
粒度分布(重量比)は、3区分で見るとほぼ互角でした。粗大(1101μm以上)がC3 約51%/C40 約53%、中粒の適正帯(501〜1100μm)がC3 40%/C40 約38%、微粉(500μm以下)がC3 9.0%/C40 8.6%。細かく見るとC40がやや中粗寄り、C3が中粒(501〜800μm)をやや多く含む傾向でしたが、価格差ほどの均一性の差は出ませんでした。 粒度のそろい方が味に与える影響の一般原理は、別記事で解説しています。


微粉の量
抽出に使った粉の微粉量(150μm未満)は、3回平均でC3 3.4%/C40 MK4 2.9%(ばらつきはC3 ±0.2、C40 ±0.1)。C40のほうが0.5ポイントほど少ない結果でした。微粉は多いと雑味や目詰まりの原因になりやすく、ここはC40の刃の精度が表れた部分と見ています(数値は事実、評価は当ラボの見解です)。
静電気と飛び散り
挽いた後の飛び散り・静電気は、5段階評価(高いほど良好)でC3 3.7/C40 MK4 4.3、容器やテーブルへのロス量はC3 0.09g/C40 0.05g。C40のほうが飛び散りにくく、ロスも少なめでした(今回はRDTなし)。とはいえC3も大きく飛ぶわけではありません。 静電気そのものの対策は、専用ガイドにまとめています。


挽き心地と速度
挽く速さは、20gの中挽きでC3 41秒(約93回転)/C40 MK4 48秒(約111回転)、15g換算でC3 約31秒/C40 約36秒。C3のほうが速く挽けます。挽き心地は、C3は固さを感じるものの、グリップが効いて押し切りやすく、C40は軽くストレスが少ない、という違いでした(秒数は事実、感触は当ラボの体感です)。
味への影響(飲み比べ)
同じレシピ(HARIO V60・湯温92℃・15g/250g)でドリップし、飲み比べてみました。数値と実際の味わい(各5点満点)の評価は以下の通りです。
- TDS(濃度):C3 1.35% / C40 1.32%
- 収率:C3 19.8% / C40 19.4%
- クリアな味わい:C3 3.3点 / C40 4.2点
- 雑味の少なさ(低いほど良い):C3 2.5点 / C40 1.8点
- 甘みの感じやすさ:C3 3.3点 / C40 4.2点
濃度・収率はどちらも適正範囲、差はわずかです。カップの印象ではC40がクリアで雑味が少なく、輪郭がくっきりとしていて豆本来の甘み(フルーツのような自然な甘さ)を長く感じやすいという結果になりました(TDSは事実、官能は当ラボの評価で個人差があります)。
結局、どちらを選ぶか
価格差は約2万円。高価なものほど良いとは限りませんし、ご自身のプレイスタイルに合わせて選ぶのが一番です。ここまでの検証結果を踏まえ、それぞれどんな方におすすめできるかを整理してみました。
C3で十分な人
主にペーパードリップを楽しみ、毎日のコーヒーを美味しく安定して淹れたいという方には、1万円台のC3で十分満足できると思います。今回の検証でも、粉の均一さや抽出された成分の数値はC40とほぼ互角で、驚くほどの大きな差はありませんでした。むしろ、豆を挽き終わるまでのスピードはC3の方が早く、本体が軽くて扱いやすいという大きなメリットもあります。まずはC3を手に入れて、自分好みの挽き目を見つけることに集中するのも素晴らしい選択です。
C40が効く人
一方で、「微粉」の少なさや静電気の起きにくさ、そして何よりコーヒーを口に含んだときのクリアな味わいと豊かな甘みにおいては、C40 MK4が上回っていました。特に、豆の個性がダイレクトに出る「浅煎り」のコーヒーをよく飲む方、雑味のないすっきりとした甘いコーヒーを最後まで堪能したい方におすすめです。また、毎日ハンドルを回すときの滑らかな心地よさや、世界最高峰のミルを使っているという所有欲を満たしてくれる点でも、約2万円を追加して投資する価値は十分にあります。
まとめ
まとめると、粒度分布・TDS・収率は互角に近く、微粉・静電気・カップのクリアさと甘さでC40 MK4が一段上でした。コスパと挽く速さならC3、カップの透明感・甘さ・挽き心地まで含めて上を狙うならC40 MK4です。 ミル全体の選び方や、手挽きの俯瞰比較は、それぞれの記事のほうが詳しいので、迷う場合はあわせてご覧ください。挽き目と味の関係をもっと知りたい方は、粒度の科学の記事が参考になります。



よくある質問
本記事は、各メーカーの公表スペックと、当ラボの実測(同一豆での挽き比べ)をもとにしています。価格・仕様は変動します(2026年5月時点)。
公式仕様(メーカー公表)
- TIMEMORE「Chestnut C3S シリーズ 製品ページ」S2Cステンレスのコニカル刃・調整段数・容量などの公表仕様。
- Comandante「C40 MK4 Nitro Blade 製品ページ」Nitro Blade(高窒素ステンレス刃)・35段階・容量40g・重量約740gなどの公表仕様。
調査時点 2026年5月/価格・仕様は変動します。最新は各公式・各商品ページでご確認ください。
本記事の更新履歴- 2026年5月31日 初版公開(同一豆での挽き比べ実測)

