【2025年最新版】ペットの”声なき声”を可視化する。AIヘルスモニタリングデバイス完全ガイド|病気の予兆を捉える次世代の予防医療

モダンペットケア&テクノロジーラボ
【2025年版】ペットの健康管理デバイスガイド|留守番中の不安を安心に変える選び方

12歳になる愛犬マロンが時々咳をするようになり、共働きの我が家では「留守番中に何かあったら…」という不安が常にありました。言葉を話せない家族の健康をどう守ればいいのか。この探求の旅は、まさにそこから始まったのです。

仕事中、ふと頭をよぎる愛犬・愛猫のこと。「今、元気にしているかな?」「体調は悪くないだろうか?」——。特にシニア期に入ったペットと暮らす飼い主にとって、留守番中の漠然とした不安は尽きない悩みではないでしょうか。

しかし今、その不安を「データに基づいた安心」に変えるテクノロジー、それがペットの健康管理デバイスです。かつての見守りカメラや活動量計から飛躍的に進化した最新デバイスは、日々の行動や体調の小さな変化をデータとして記録し、”声なき声”を私たちに伝えてくれます。

この記事では、Zatsulabo「モダンペットケア&テクノロジー」ラボが、私自身の失敗談も交えながら、日本国内で実際に手に入る製品を中心に、あなたと大切な家族に最適な一台を見つけるための具体的な方法を、分かりやすく解説していきます。

「見守り」から「健康管理」へ。日本のペットテック最新事情

多くの飼い主さんが「ペットテック」と聞いて最初に思い浮かべるのは、「見守りカメラ」かもしれません。しかし、日本のペットテックは今、その一歩先、「見守る」だけの時代から、日々のデータで「健康を管理する」時代へとシフトしています。

飼い主の最大の悩み「留守番中の不安」をテクノロジーはどう解決する?

ペットオーナー向けの情報サイト「サニクリーン」の調査によれば、飼い主がペットの留守番で心配なことの第1位は「急な体調不良やケガ」(63.0%)でした。これは、多くの飼い主が共有する切実な悩みであることを示しています。

この課題に対する最初の解決策が、AnkerやPanasonicといったメーカーから発売されているAI搭載の見守りカメラです。ペットの姿を追跡したり、鳴き声を検知して通知を送ったりと、「目に見える異常」を捉える技術は、私たちの不安を大きく和らげてくれました。しかし、咳や食欲不振といった「目に見えない体調の変化」までは、映像だけでは分かりません。

「活動量の記録」から「体調変化の兆候」へ進化したデバイス

そこで登場したのが、より踏み込んだ健康管理デバイスです。これまでのデバイスの多くは、人間のフィットネストラッカーのように、歩数や睡眠時間といった「活動量」を記録するものでした。これは画期的でしたが、あくまで「何をしたか」という外面的な記録です。

しかし、最新の国内デバイスは、食事や飲水、排泄といった**「行動データ」**をAIが解析し、そこから体調変化の”兆候”を読み取る領域へと進化しています。これは、単に活動量を記録する「Quantified Self(数値化された自己)」の段階から、データが何を意味するのかを解釈し、健康上の具体的なヒントを与えてくれる「Interpreted Health(解釈された健康)」への質的な転換と言えるでしょう。

デバイスの進化「行動の記録」から「健康の解釈」へ

🐾
見守りカメラ・活動量計

Quantified Self

映像確認・歩数・睡眠時間

「何をしたか」を記録

📈
健康管理デバイス

Interpreted Health

食事・飲水・排泄・バイタル

「体調に変化の兆候はないか」を解釈

【目的別】あなたと愛犬・愛猫に合うデバイスはどれ?3つの主要タイプを徹底解説

健康管理デバイスと一言でいっても、そのアプローチは様々です。ここでは、今の日本市場で手に入る製品を中心に、「何を解決したいか」という目的別に3つのタイプに分けて、それぞれの特徴とどんなペット・飼い主さんに向いているかを解説します。

3つの主要タイプ早見表

🐾
タイプ1
ウェアラブル型

24時間365日、ペットの行動を見守り、体調変化の兆候を捉える

こんな方に
日々の小さな変化に気づきたい、総合的な健康管理がしたい
注意点
装着のストレス、充電の手間
🏠
タイプ2
スマートホーム型

トイレやベッドなど、普段の生活を変えずに健康データを自動収集する

こんな方に
特に猫の泌尿器系が心配、首輪などが苦手なペットに
注意点
データが取れる場所が限られる
🛰️
タイプ3
GPSトラッカー型

「もしも」の時に備える。迷子や災害時の命綱

こんな方に
脱走癖がある、災害時の安全を確保したい
注意点
健康管理機能は限定的なモデルが多い

タイプ1 ウェアラブル型。24時間寄り添う安心感

ペットの首輪やハーネスに装着し、24時間体制で行動を記録し続けるのがウェアラブル型です。今の日本市場では、このタイプが最も選択肢が豊富です。

国内主流派の「行動解析」デバイス

猫の飼い主さんなら「Catlog(キャトログ)」、犬も猫もという方なら「PetVoice(ペットボイス)」が国内の代表格です。これらのデバイスは、食事や飲水、睡眠、運動といった日々の行動をデータ化することに特化しています。「昨日より水を飲む回数が多いな」「夜中に何度も起きているみたい」といった、感覚では見過ごしがちな小さな変化をグラフで可視化してくれるのが最大の価値です。

海外トレンドの「バイタルサイン」測定

一方、海外では一歩進んで、心拍数や呼吸数といった「バイタルサイン」を測定する流れが主流になりつつあります。日本でも購入可能な「Tractive(トラクティブ)」も、将来的にはこの機能を実装予定としており、行動データだけでは分からない、より深いレベルでの健康管理が期待されています。

タイプ2 スマートホーム型。普段の生活を変えずに見守る

首輪などを嫌がるペットや、より自然な状態でのデータを重視する飼い主さんに支持されているのが、スマートホーム型です。

特に猫の飼い主さんの間で絶大な信頼を得ているのが、「Toletta(トレッタ)」に代表されるスマートトイレです。猫に多い泌尿器系の病気は、尿の量や回数、体重の変化に兆候が現れます。Tolettaは、普段通りトイレをしてもらうだけでこれらのデータを自動で記録。多頭飼いでもAIが個体を識別してくれるため、「どの子の体調が変化しているか」を正確に把握できます。ウェアラブルが苦手な猫にとって、これ以上ない健康管理ツールと言えるでしょう。

タイプ3 GPSトラッカー型。「もしも」の迷子や災害に備える

「うちの子は脱走癖があって…」という悩みや、地震などの災害時に離れ離れになってしまう不安は、日本の飼い主さんにとって他人事ではありません。そんな「もしも」の時に命綱となるのが、GPSトラッカーです。

現在、日本で正式に販売され、日本語サポートも充実している製品としては「Tractive(トラクティブ)」が筆頭に挙げられます。高精度なGPSでリアルタイムに居場所を知らせてくれるだけでなく、設定した範囲から出たら通知が来る「バーチャルフェンス」機能など、安心のための機能が満載です。多くのモデルは活動量の記録といった基本的な健康管理機能も備えており、「安全確保」を最優先しつつ、日々の健康も見守りたいというニーズに応えてくれます。

【日本で買える】主要ペットヘルスケアデバイス徹底比較

ここからは、実際に日本国内で入手しやすく、日本語でのサポートも期待できる主要なデバイスに絞って、機能や価格を具体的に比較していきます。あなたと愛犬・愛猫の目的に合う一台がきっと見つかるはずです。

国内外の主要デバイス比較表

デバイス名 タイプ 測定できる主なデータ ペットへの負担 価格帯の目安 Zatsulabo評価
Catlog ウェアラブル型 (猫専用) 食事, 水飲み, 睡眠, 運動など7種の行動 軽量設計 (約9g) 本体: 4,000円台〜
月額: 580円〜
猫の行動変化に特化。小さな変化から体調の波を読み取りたい猫の飼い主さんに最適。
Toletta スマートホーム型 (猫専用) 体重, 尿量, 尿回数, 滞在時間, 尿色など ほぼ無し (普段通りトイレするだけ) 本体: 3万円台〜
月額: 1,480円
泌尿器・腎臓系疾患の早期発見で右に出るものなし。全ての猫の飼い主さんが検討すべき一台。
Tractive GPSトラッカー型 位置情報, 活動量, 睡眠 約35g。超小型犬にはやや重い可能性も。 本体: 7,000円台〜
月額: 600円〜
迷子・災害対策の決定版。安全確保を最優先しつつ、日々の健康状態も把握したいアクティブな犬に。
PetVoice ウェアラブル型 活動量, 休息, “ゴロゴロ”などの鳴動 約21g。 本体: 1万円台〜
月額: 550円〜
犬猫兼用の国産デバイス。鳴動を検知するユニークな機能が特徴で、総合的な見守りに。

私の失敗談から学ぶ、後悔しないための5つのチェックポイント

私の失敗談。遠回りから学んだこと

偉そうに解説していますが、私も最初から完璧だったわけではありません。愛犬の咳が気になり始めた頃、まず手を出したのは安価な「活動量計」でした。しかし、記録されるのは歩数と睡眠時間だけ。「今日はあまり動いていないな」と分かるものの、肝心の咳や体調との関連性は全く見えず、不安は解消されませんでした。
次に、少し高価な海外製デバイスに手を出したものの、今度は重さがネックに。小型犬の愛犬には負担だったようで、着けるのを嫌がり、結局お蔵入りに…。この経験から、「何を解決したいのか」という目的意識と、「ペット自身の特性」を何よりも優先することの重要性を痛感したのです。

せっかく導入するなら、あなたとペットにとって本当に価値のあるものを選んでほしい。そんな思いから、私の失敗も踏まえた「後悔しないための5つのチェックポイント」をまとめました。

後悔しないための5つのチェックポイント

🎯
目的は明確か?

迷子防止? 泌尿器ケア? シニア期の体調管理? あなたが一番解決したい課題は何ですか。

🐶
ペットの特性に合っているか?

体のサイズ、重さ、性格、首輪への慣れなど、愛するペットに負担なくフィットするかを最優先に考えましょう。

📱
毎日、無理なく使えるか?

直感的な日本語アプリ、十分なバッテリー性能、充電の手間など、日々の使いやすさは継続の鍵です。

💰
トータルコストは把握したか?

本体価格だけでなく、月額料金も含めた長期的な視点でコストを比較検討しましょう。

📞
サポート体制は安心できるか?

特に海外製品の場合、困った時に日本語で迅速なサポートを受けられるかは重要なポイントです。

【コラム】海外の最先端はここまで来ている!CESに見る「未来の予防医療」

ここでは少し視野を広げて、海外の最新技術がどこまで進んでいるのかをご紹介します。まだ日本では手に入りにくいものもありますが、これからのペットとの暮らしを想像すると、きっとワクワクするはずです。

心拍数から痛みの兆候まで検知する「医療グレード」デバイス

海外のペットテックを語る上で欠かせないのが、イスラエル発の「PetPace(ペットペース)」のような「医療グレード」を謳うデバイスの存在です。これらは単なる活動量計ではなく、心拍数や呼吸数、さらには自律神経のバランスを示すHRV(心拍変動)といった、より専門的な生体データを24時間記録し続けます。

AIが個々のペットの「健康な状態」を学習し、そこからの僅かな逸脱を検知して飼い主にアラートを送ることで、痛みの兆候やてんかん発作の前触れなどを捉える研究も進んでいます。まさに「未来の予防医療」を体現する技術と言えるでしょう。

日本国内での注意点
ただし、PetPaceのようなデバイスは、現状では個人輸入が基本となり、日本語のサポートもありません。また、日本の薬機法のもとでは、これらのデバイスが病気を「診断」することはできず、あくまで「健康管理の参考データ」として捉える必要があります。

これからのペットテックで注目すべき3つのキーワード

こうした海外の先行事例から、今後のペットテックの進化を読み解く上で重要となる3つのキーワードが見えてきます。

まとめ。データは、愛する家族との新しい「対話」の始まり

ペットの健康管理デバイスは、単に数字を眺めるためのガジェットではありません。それは、言葉を話せない彼らの“声なき声”をデータという共通言語に翻訳し、私たち飼い主との絆をより深く、確かなものにするための新しい「コミュニケーションツール」です。

なんとなくの勘や経験に頼るのではなく、客観的なデータに基づいて愛する家族の小さな変化に気づき、先手を打って健康を守る。そんな新しいペットとの関係が、もう始まっています。

この記事を読んでデバイスを導入することは、ゴールではありません。それは、新しい関係の始まりです。デバイスが提供するデータを日々のコミュニケーションに活かし、何か気になる変化があれば、その客観的な記録を持ってかかりつけの獣医師に相談する。その積み重ねこそが、彼らの健康寿命を延ばし、共に過ごすかけがえのない時間を、より豊かにしてくれるはずです。

【免責事項】
本記事は、筆者自身の調査および製品使用経験に基づいて執筆されています。掲載されている情報は、一般的な情報提供を目的とするものであり、獣医師による医学的な診断や治療に代わるものではありません。ペットの健康状態に懸念がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

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