「エアロプレスを買ったけれど、いまいち使いこなせていない気がする」
「ネットのレシピ通りにやったはずなのに、薄かったり、苦かったりして味が安定しない」
もしあなたがそう感じているなら、それはあなたの腕が悪いわけではありません。エアロプレスがあまりにも自由すぎるからです。
お湯の量、温度、豆の挽き目、浸漬時間、混ぜる回数、そして正立式か逆さ式か……。変数が多すぎて、まるで迷路のようになっています。私も最初はそうでした。世界大会のチャンピオンレシピを真似ては「なぜか同じ味にならない」と首をかしげる日々。そこで気づいたのは、「毎回淹れ方を変えていては、正解にはたどり着けない」という事実です。
この記事では、当ラボが検証を重ねてたどり着いた「初心者がまず成功する、たった1つの固定レシピ」をお渡しします。
曖昧な感覚ではなく、g(グラム)・℃(度)・秒ですべて数値化した再現性の高い手順です。まずはこれをそのまま真似してください。美味しいコーヒーへの最短ルートを、ここから始めましょう。
この記事の編集方針・検証データ
当ラボでは信頼性を最優先するため、以下の基準で情報を検証しています。
- 検証件数 (n)
- 抽出レシピ15パターン(WAC上位、公式推奨、著名バリスタメソッド含む)
- 検証期間
- 過去12か月(直近90日でFlow Control Filter Cap等も追加検証済)
- 使用機材
- AeroPress Original(AeroPress, Inc. 正規流通品)
- 記述ルール
-
「事実」:メーカー公式情報、大会データ等の一次情報
「当ラボの見解」:検証に基づく初心者向け最適解
これらを明確に区別して記載します。 - 安全性
- ※インバート(逆さ式)は転倒・火傷のリスクが高いため、当ラボでは原則として安全な代替案(Flow Control等)を推奨します。
- 利益相反
- 記事内のリンクにはアフィリエイトが含まれる場合がありますが、メーカー提供・広告案件ではなく、すべて当ラボの自費検証に基づきます。
- 価格情報
- 価格・在庫は変動します。(最終確認日:2026-02-15)
結論 初心者は「固定」で勝てる(当ラボの基準)
エアロプレスで失敗する最大の原因は、「淹れるたびに何かが変わってしまっていること」です。お湯の温度が昨日より5℃高かったり、攪拌(かくはん)の回数が多かったりするだけで、コーヒーの味は劇的に変わります。
まずは、変数をガチガチに固定してしまいましょう。動かすのは、味が決まってからです。
まず固定するのは4つだけ
当ラボが提唱する「最初の1週間、絶対に動かしてはいけない4つの掟」がこちらです。この数値を基準点(ゼロ地点)とします。

「えっ、ネットではもっと細かいレシピを見たよ?」と思うかもしれません。しかし、これらを固定することで初めて、「昨日は苦かったから、今日はこうしよう」という修正が可能になります。
事実 温度は焙煎度で目安がある
エアロプレスの開発元であるAeroPress, Inc.は、焙煎度に応じた推奨温度を以下のように提示しています。
- 深煎り(Dark Roasts):175°F(約80℃)
- 中煎り〜浅煎り(Medium – Light):185°F(約85℃)
沸騰したてのお湯(100℃)を使うレシピも存在しますが、それは浅煎りの豆から酸味と香りを最大限に引き出すための上級者向けメソッドである場合が多いです。一般的なスーパーやカルディで購入できる豆や、深煎りの豆に100℃のお湯を使うと、過剰な苦味や雑味(エグみ)が出てしまいがちです。
当ラボの見解 最初の1週間は“掟”として固定
初心者が最も失敗しにくい「スイートスポット」は85℃です。
深煎り豆を使う場合のみ80℃に下げても良いですが、迷ったら「豆18g・湯温85℃」で固定してください。この設定で淹れれば、極端に「まずい」コーヒーになる確率は限りなくゼロに近づきます。
30秒診断:あなたの「まずい」の原因はどれ?
固定レシピで淹れてみたけれど、「何か違う」「美味しくない」と感じた場合、それは失敗ではありません。あなたの好みや、使用している豆に合わせるための「調整のヒント」です。
コーヒーの味は化学反応の結果です。結果(味)から原因(抽出条件)を逆算すれば、必ず修正できます。今のあなたのコーヒーはどれに当てはまりますか?

薄い(抽出不足)
「色が薄い」「お湯の味がする」「フレーバーが弱い」と感じる場合、コーヒーの成分が十分にお湯に溶け出していません。
最も簡単な修正は「挽き目を1段階細かくする」ことです。粉が細かくなるとお湯との接触面積が増え、成分が出やすくなります。もし挽き目がこれ以上細かくできない場合は、浸漬時間を30秒延ばしてみましょう。
えぐい・苦い(過抽出)
「喉にイガイガする刺激がある」「舌が乾くような渋みがある」場合、それは過抽出(オーバーエクストラクション)です。美味しい成分だけでなく、ネガティブな雑味まで抽出されています。
原因の多くは「お湯が熱すぎる」か「混ぜすぎ」です。まず、お湯の温度を確実に85℃(深煎りなら80℃)まで下げてください。そして、攪拌は優しく数回にとどめましょう。それでも苦い場合は、挽き目を少し粗くして成分が出にくいように調整します。
酸っぱい(温度/抽出不足寄り)
「刺すような酸味がある」「甘みがなく酸っぱいだけ」という場合も、実は抽出不足の一種です。コーヒーの成分は酸味→甘味→苦味の順で溶け出すため、甘味が出る前に抽出が終わってしまっています。
まず疑うべきは温度です。お湯がぬるすぎませんか? 温度を85℃〜90℃まで上げてみてください。または、浸漬時間を少し延ばすことで、酸味の奥にある甘味を引き出すことができます。
粉っぽい
カップの底に泥のような粉が溜まっていたり、舌触りがザラザラする場合、プレスの仕方に問題があります。
力任せにギュウギュウと押していませんか? 強い圧力をかけると、微粉がペーパーフィルターの隙間をすり抜けてしまいます。「腕の重みだけで、30秒以上かけてゆっくり押す」ことを意識してください。また、空気の抜ける「プシューッ」という音が聞こえたら、そこでストップする(最後まで絞り切らない)のも有効なテクニックです。
【日本向け】まずは成功する「基本レシピ(正立・バイパス式)」
ここから紹介するのは、当ラボが推奨する「初心者が最も失敗しにくい」基本レシピです。
特徴は「濃く抽出して、後からお湯で割る(バイパス)」こと。実はこれ、近年のエアロプレス世界大会(WAC)でも優勝者が採用している勝てるトレンドの手法です。
最初から全量のお湯(200gなど)を通そうとすると、後半に「雑味・渋み」が出やすくなります。少ないお湯(100g)で美味しいところだけを濃厚に抽出し、後からお湯を足して濃度を調整するほうが、「クリアで甘い」のに「失敗しない」のです。
当ラボ固定レシピ(最初の1本)
準備するもの:
- コーヒー豆:18g(中細挽き)
- お湯:85℃(沸騰させてから少し冷ます)
- エアロプレス本体(スタンダードスタイル)
- ペーパーフィルター(1枚・湯通し推奨)
- 頑丈なマグカップ
必要な道具(迷ったらこの順)
粉全体にお湯が行き渡るように円を描きながら注ぎましょう。
粉のダマを崩すのが目的なので、激しく混ぜる必要はありません。
これでお湯が下に漏れるのを防ぎながら、1分経過するまで待ちます。
「シューッ」という空気の抜ける音が聞こえたらストップ。最後まで絞り切ると雑味が出る原因になります。
ここにお湯を50g〜80g足して、好みの濃さに調整してください。
※氷を入れれば、急冷アイスコーヒーもこのレシピで完璧に作れます。
このレシピなら、「味が薄い」と思えば後から足すお湯を減らせばいいですし、「濃い」と思えばお湯を足せば解決します。つまり、失敗して捨てることがなくなります。
逆さ式(インバート)と最新の安全デバイス
エアロプレスといえば、本体を逆さまにしてお湯を注ぐ「インバート方式(逆さ式)」が有名です。粉とお湯を完全に漬け込める(漏れない)ため、フレンチプレスのような濃厚な味が出せる人気の手法です。
事実 公式は逆さ式を強く非推奨
AeroPress社は公式FAQにて、「逆さ式(Inverted Method)は不安定であり、熱湯による火傷のリスクがあるため推奨しない」と明言しています。
特にマグカップにひっくり返す瞬間に、プランジャーが抜けて熱湯が手にこぼれる事故が世界中で報告されています。
当ラボの見解:今は「逆さにしない」が正解
かつては「漏れないように浸漬する」には逆さにするしかありませんでした。しかし現在は、正立のままで逆さ式と同じ効果を得られる純正アクセサリーが登場しています。
代替案 Flow Control Filter Cap(フローコントロールフィルターキャップ)
2025年のWAC世界王者(Nemo Pop氏)も使用したのが、この圧力制御キャップです。これを使えば、圧力をかけない限りお湯が下に漏れません。
AeroPress Flow Control Filter Cap
参考価格:6,050円(税込)
純正のフィルターキャップと交換するだけで、正立のまま完全浸漬が可能になるアイテム。逆さ式のリスクをゼロにし、クレマ(泡)のあるエスプレッソライクな抽出も可能になります。
※対応機種:Original / Clear / Go (XLは非対応の場合あり)
「逆さ式に憧れるけれど、朝の忙しい時間に火傷のリスクは負いたくない」。そう思う方は、無理に逆さ式を練習するよりも、このキャップを導入するのが現代のスマートな解決策です。
味を直す「4つのレバー」:科学的にどれを動かす?
基本レシピで作ってみて、「もう少しこうしたい」という欲が出てきたら、いよいよ自分だけの味を作る番です。
ただし、闇雲に変えてはいけません。エアロプレスには味を決定づける「4つのレバー」があります。これらを1つずつ動かすことで、科学的に味をコントロールできます。

最も大きく味が変わる基本のレバーです。
- 味が薄い・酸っぱいなら「細かく」する:
粉の表面積を増やし、成分を溶け出しやすくします。 - 苦い・渋いなら「粗く」する:
お湯の通りを良くし、余計な成分が出ないようにします。
温度は「どの成分を溶かすか」を選別するレバーです。
- 80℃(低め):
深煎りの豆向け。苦味や雑味を抑え、まろやかなコクだけを引き出します。 - 85〜90℃(高め):
浅煎りの豆向け。硬い豆の組織から華やかな酸味と甘味を引き出します。
迷ったら85℃で固定し、深煎りの豆で「苦すぎる」と感じた時だけ80℃に下げてください。
🌡️「混ぜる」という行為は、抽出を強制的に加速させるアクセルです。混ぜれば混ぜるほど濃くなりますが、やりすぎると「エグみ」に直結します。
基本は「粉全体がお湯に触れる程度(4回)」で十分です。もし味が薄いと感じて、挽き目を変えられない場合は、攪拌を10回に増やしてみてください。劇的に濃くなるはずです。
お湯に浸けている時間が長いほど、成分は濃くなります。
- 浸漬時間(待ち時間):
長くするとボディ感(コク)が増します。 - プレス時間(押し出し):
速く押しすぎると渋みが出ます。常に30秒〜45秒かけて優しく押すのが鉄則です。
フィルターの違い(ペーパー vs 金属)とメンテ
エアロプレスはフィルターを変えるだけで、まるで別の器具で淹れたような味に変化します。
味わいの違い:クリアか、ボディか
| 特徴 | ペーパーフィルター (紙) |
ステンレスフィルター (金属) |
|---|---|---|
| 味の傾向 | スッキリ・クリア | 濃厚・オイリー |
| 微粉の量 | ほぼゼロ | 少し混ざる |
| コーヒーオイル | 吸着される(カット) | そのまま通る |
| 初心者おすすめ | ◎ 推奨 | △ 好みによる |
ペーパー(紙)
基本にして王道です。コーヒーの油分(オイル)や雑味の原因となる微粉をしっかりキャッチするため、驚くほど透明感のあるクリーンな味になります。
事実:WAC 2025世界王者のNemo Pop氏は、このペーパーフィルターを「2枚重ね」にして使用し、極限まで雑味のないクリーンカップを実現しました。
ステンレス(金属)
別売りの金属製ディスクフィルターです。目が粗いため、コーヒーオイルや微粉がカップに入ります。フレンチプレスのような「とろみ」や「豆の野生味」を楽しみたい方には最適です。
メンテナンス:世界一ラクな「ゴミ捨て」
エアロプレスが愛される最大の理由の一つが、片付けの簡単さです。
抽出が終わったらキャップを外し、プランジャーを最後まで押し込むと、圧縮されたコーヒーの粉(パック)が「ポンッ」と固まりで飛び出します。あとは先端のゴムをサッと水洗いするだけ。洗剤でゴシゴシ洗う必要もほとんどありません。
エアロプレスのよくある質問(FAQ)
最後に、初心者の方がよく疑問に思うポイントをまとめました。
次に読むべき関連記事(当ラボ内の着地点)
エアロプレスの基本レシピをマスターしたら、次は「なぜその味になるのか?」という科学の世界を覗いてみませんか? 理解が深まれば、レシピはもっと自由になります。
エアロプレスは、あなたの好みに合わせてどんな味にも変化してくれる最高の相棒です。
迷ったら、いつでもこの記事の「30秒診断」に戻ってきてください。
あなたのコーヒーライフが、今日から「毎回最高の一杯」になることを願っています。
参考文献・引用データ一覧
本記事の検証および推奨レシピの作成にあたり、以下の公式情報および競技会データを参照しています。
-
World AeroPress Championship (WAC)
2025 World Champion Recipe (Nemo Pop) / Championship Recipes Archive
https://worldaeropresschampionship.com/ -
AeroPress, Inc. Official Help Center
“What is the optimal brewing temperature?” / “Inverted Method Safety Notice”
https://aeropress.com/ -
小川珈琲株式会社(国内正規販売代理店)
エアロプレス商品仕様・国内正規価格情報(2026年2月確認)
https://oc-shop.co.jp/


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