ネスプレッソのラテが薄い原因は「比率」でした|エスプレッソ40ml×ミルク量の黄金比(ホット/アイス)

「自宅でカフェのようなラテを飲みたい」と思ってネスプレッソやカプセル式マシンを買ったのに、実際に作ってみると何かが違う。

「味が水っぽい」「ミルクのコクが足りない」「お店のような濃厚さがない」

そう感じたことはありませんか?

実は、カプセルコーヒーで美味しいラテを作るために最も重要なのは、高いマシンを買うことでも、高価なミルクを使うことでもありません。それは、「抽出量とミルクの物理的な比率(Ratio)」を制御することにあります。

多くの人が「ルンゴ(約110ml)」ボタンを押してラテを作ってしまいますが、実はこれが最大の落とし穴。当ラボ(家淹れ珈琲研究所)では、物理化学的な視点からカプセルとミルクの最適なバランスを検証しました。

本記事では、感覚的な「適量」を排除し、ml(ミリリットル)単位で設計された「カプセルラテの黄金比」を提示します。これを読めば、あなたのキッチンは「なんとなく作る場所」から「理想の一杯を設計するラボ」へと変わるはずです。

この記事のゴール
読了後、あなたは「自分の好みに合わせた最適なミルク量」を数値で理解し、今日から水っぽくない濃厚なラテを作れるようになります。
目次

結論|ネスプレッソ・ラテの「黄金比」早見表

まずは結論から提示します。美味しいラテを作るための比率は、使用するマシンタイプ(オリジナル/ヴァーチュオ)と、ホットかアイスかによって明確に異なります。

以下のチャートを参考に、まずは「基本の比率」で抽出してみてください。

ネスプレッソのラテ黄金比早見表。エスプレッソ40mlに対してミルク80〜120mlなど、ホット/アイスの比率を一覧で整理した図解
計量

耐熱の計量カップ(目盛り付き)

40ml:120ml(1:3)などの黄金比を「毎回同じ」にできます。比率がブレないと、味もブレません。

時短

メジャースプーン

「毎回ざっくり」が積み重なると味が散ります。計量を“習慣化”したい人の小さな相棒です。

この数値を見て「思ったよりミルクが少ない」または「コーヒーが少ない」と感じたかもしれません。しかし、これこそがカフェ品質を再現するための「濃度の境界線」です。

なぜこの比率になるのか、そしてなぜ多くの人が失敗してしまうのか。次章から、そのメカニズムを紐解いていきます。

まずは確認|あなたの機種の「抽出ボタン」の正解

レシピを実行する前に、お使いのマシンの「ボタンの意味」を正確に把握しておきましょう。ネスプレッソには大きく分けて「オリジナル(Original)」「ヴァーチュオ(Vertuo)」の2種類があり、それぞれ抽出される液量が異なります。

この「抽出量のズレ」こそが、レシピ失敗の第一歩です。

Original(オリジナル)

従来のカプセル形状。圧力ポンプ式。

  • リストレット (Ristretto)25ml
  • エスプレッソ (Espresso)40ml ★基本
  • ルンゴ (Lungo)110ml

Vertuo(ヴァーチュオ)

ドーム型カプセル。セントリフュージョン(回転抽出)式。

  • エスプレッソ40ml
  • ダブル・エスプレッソ80ml ★ラテ向き
  • グラン・ルンゴ150ml
  • マグ230ml

ラテを作る際、最も基本となるのは「エスプレッソ(40ml)」です。

もしあなたがヴァーチュオユーザーなら、ラテに特化した「ダブル・エスプレッソ(80ml)」のカプセルを選ぶことで、より濃厚な味わいを簡単に実現できます。

第1章|なぜ薄くなる?原因は「ルンゴ抽出」と「カップサイズ」

「カプセルラテが水っぽい」「牛乳の味しかしない」。この悩みを抱える方の9割が陥っているのが、「ルンゴ(110ml)での抽出」です。

ルンゴの罠:110mlの正体

ルンゴは、エスプレッソと同じ粉量(約5~6g)に対して、約3倍のお湯(110ml)を通す抽出方法です。抽出の後半に出てくるのは、コーヒーの旨味成分ではなく、主に「苦味成分を含んだお湯」です。

この「コーヒー風味のお湯」にたっぷりのミルクを加えてしまうと、どうなるでしょうか?

⚠️ 失敗の方程式
ルンゴ(110ml) + ミルク(150ml) = 薄いカフェオレ(260ml)

総量は増えますが、コーヒーの濃度(TDS)は著しく低下します。ミルクの脂肪分によるマスキング効果で、コーヒーの香りは完全にかき消されてしまいます。
これが「水っぽいラテ」の正体です。

解決策:エスプレッソ抽出+適正カップ

美味しいラテ(カフェラテ)を作るための鉄則は、「濃厚な原液(エスプレッソ)をミルクで割る」ことです。

以下の比較表を見てください。同じカプセルを使っていても、抽出モードを変えるだけで「カフェオレ」と「カフェラテ」ほどの差が生まれます。

結果:味がぼやける
コーヒー感が薄く、ただの「ミルクコーヒー」になりがち。

結果:カフェの味
コーヒーのコクとアロマが、ミルクの甘みに負けずに残る。

ルンゴ抽出で作るラテ(薄い)と、エスプレッソ40ml基準で作るラテ(濃い)の違いを左右で比較したNG/OK図解

ここでのポイントは、「マグカップのサイズ」も見直すことです。300ml入る大きなマグカップを使うと、40mlのエスプレッソが底にわずかに溜まるだけに見え、無意識にミルクを注ぎすぎてしまいます。

「200ml前後のカップを使うこと」。これだけで、ミルクの過剰投入を物理的に防ぐことができます。

カップ

200ml前後のカップ(ラテカップ)

大マグだと「足りない気がして」ミルクを入れすぎがち。200ml帯は黄金比を“物理的に守れる”サイズです。

第2章|ミルク温度は「55℃~65℃」が正解

「お店のラテは甘いのに、家で作るとなぜか牛乳臭い」。この原因の多くは、ミルクの加熱しすぎ(オーバーヒート)にあります。

牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」の甘みが最も強く感じられる温度帯は、科学的に決まっています。

ミルクの温度帯を示すメーター図。55〜65℃が甘みと泡が安定する推奨ゾーン、70℃以上は分離や臭みの注意ゾーン

70℃を超えると、牛乳中のタンパク質が熱変性を起こし、独特の加熱臭(硫黄臭)が発生します。これがいわゆる「牛乳の膜」の匂いで、コーヒーの繊細なアロマを台無しにしてしまいます。

エアロチーノが途中で止まる理由

ネスプレッソ純正のミルクフォーマー「エアロチーノ」をお持ちの方は、ボタンを押してしばらくすると自動で停止することをご存知でしょう。実はあの停止温度は、まさにこの60℃~65℃付近に設定されています。

「もっと熱々がいい」と思って再度ボタンを押すのは避けましょう。熱さは得られますが、ラテとしての「甘み」と「口当たり」は失われてしまいます。

🔗 あわせて読みたい:ミルクフォーマーおすすめ【2026年版】(泡が消える原因は「温度」だった) 「泡がすぐ消える」「きめ細かいフォームが作れない」とお悩みの方へ。タイプ別の最適解と、泡を安定させる温度設計をまとめています。
ミルク泡

ネスプレッソ エアロチーノ(Aeroccino)4

ボタンひとつでフォームミルクを安定化。温度の外し(熱しすぎ)を減らして、ラテが「牛乳っぽくなる事故」を回避しやすいです。

温度

デジタル温度計

ミルクの「55〜65℃」を数値で固定。甘みゾーンを外さないだけで、ラテの完成度がグッと上がります。

フォーム上級

Subminimal NanoFoamer

きめ細かい泡(マイクロフォーム)寄りに作りやすい手動フォーマー。ミルクの質感を「店っぽく」寄せたい人向けです。

ラテの型

ラテ用ミルクピッチャー(ステンレス)

ミルクの注ぎが安定して、泡と液体を混ぜる操作もしやすくなります。フォームの「質感」を揃える道具です。

第3章|アイスラテは「氷の希釈」を計算に入れる

夏場に美味しいアイスラテを作るのは、ホットよりも難易度が高くなります。最大の敵は「氷の融解(Dilution)」です。

90℃近いエスプレッソを氷に注ぐと、約30~40ml分の氷が一瞬で溶けます。つまり、エスプレッソ40mlは実質「約80mlの薄まったコーヒー液」に変化します。これを計算に入れずにホットと同じ量のミルク(120ml)を入れると、味がぼやけてしまいます。

アイスラテの最適手順(レイヤリング)

氷の溶けすぎを防ぎ、見た目も美しい2層のラテを作るための「物理的に正しい手順」は以下の通りです。

アイスラテの作り方3ステップ図解。氷を入れ、冷たいミルクを注ぎ、最後にエスプレッソを静かに注いで層を作る手順
1

グラスに氷を満たす

中途半端な量はNG。グラスの縁まで氷を入れます。氷が多いほど液体温度が急速に下がり、結果的に溶ける量は少なくなります。

2

冷たいミルクを注ぐ (80ml)

ここが重要!先にミルクを注ぎます。冷たいミルクで氷の隙間を埋めることで、後から入る熱いコーヒーの熱を受け止める「冷媒」として機能させます。

3

エスプレッソを抽出 (40ml)

氷の上に直接当たるように、またはスプーンを伝わせて静かに注ぎます。比重の違いにより、ミルクの上にコーヒーが浮き、美しい層が生まれます。

アイス

製氷皿

アイスラテは「氷の溶け」が味を壊します。氷の運用を整えると、希釈が読めて“薄い事故”が減ります。

この手順で作ると、飲み始めはコーヒーの香りが強く、徐々にミルクと混ざり合うグラデーションを楽しむことができます。

もし「もっとガツンとした苦味が欲しい」という場合は、迷わず「カプセル2個使い(ダブルショット)」を検討してください。コストは上がりますが、カフェで買うよりは遥かに安く、満足度は劇的に向上します。

第4章|豆乳やオーツミルクが「分離」する理由と対策

健康志向の高まりで、牛乳の代わりに豆乳やオーツミルク(植物性ミルク)を使う方が増えています。しかし、いざコーヒーに入れた瞬間、「モロモロとした塊が浮いてきた(分離した)」という経験はありませんか?

これはミルクが腐っているわけではなく、「酸凝固(さんぎょうこ)」「熱凝固」という化学反応が同時に起きている証拠です。

コーヒーは酸性(pH4.5~5.0)の液体です。植物性ミルクのタンパク質は酸に弱く、そこに「高い温度」が加わると一気に固まってしまいます。

この失敗を防ぐための3つの鉄則をチェックリストにまとめました。

植物性ミルクが分離する原因と対策のフローチャート。温度を下げる、深煎り寄りにする、安定タイプを選ぶなどのチェック手順
🌿 植物性ミルクの分離(Curdling)防止リスト
  • 温度は「60℃以下」を厳守する 植物性タンパク質は熱に非常に敏感です。牛乳よりも低い温度(55℃〜60℃)で温めるのがコツです。沸騰直前のミルクを入れると即座に分離します。
  • 「深煎り(Dark Roast)」のカプセルを選ぶ 酸味が強い「浅煎り(ライトロースト)」の豆はpHが低く、分離を加速させます。酸味の少ない深煎り豆(インテンシティ8以上推奨)を選ぶことで、凝固リスクを減らせます。
  • 「Barista(バリスタ)」版を使う パッケージに「Barista Edition」と書かれた製品は、コーヒーの酸に耐えられるようpH調整剤(重曹など)や安定剤が含まれています。泡立ちも良いため、ラテ作りには必須級です。

※Alpro等の主要ブランドも同様のアドバイスを推奨しています。

第5章|よくある失敗と解決策(FAQ)

最後に、読者の皆様から寄せられる「ラテ作りに関する素朴な疑問」にお答えします。

作ったラテがぬるいです。もっと熱くできませんか?

ミルクの加熱しすぎは風味を損なうため推奨しませんが、以下の方法で全体の温度を上げることができます。

  1. カップの予熱:抽出前にカップにお湯を入れ、陶器を温めておく(効果大)。
  2. 湯通し:マシンにお湯だけを通し(カプセルなし抽出)、内部配管を温めておく。

これだけで、飲み頃の温度を長くキープできます。

泡が粗い、またはすぐに消えてしまいます。

最大の原因は「牛乳の鮮度」です。開封から時間が経った牛乳は、pHバランスが崩れ、泡の持ちが悪くなります。

また、脂肪分が少なすぎる(無脂肪乳など)とコクのある泡になりません。「成分無調整牛乳(脂肪分3.5%以上)」かつ「開封して2日以内」のものを使うのがベストです。

手持ちのマグカップ(300ml)を使いたいのですが…

大きなマグカップを使う場合、シングルショット(40ml)ではどうしてもミルク量が増え、味が薄くなります。

解決策は2つです。

  • カプセルを2個使う(ダブルショット):コーヒー80mlに対してミルク160mlなら、黄金比を維持できます。
  • あきらめて小さいカップを買う:200mlサイズのカップに変えるのが、長期的には最も経済的で美味しい解決策です。

結論|黄金比はあくまで「出発点」

💡 自分だけの「パーフェクト・ラテ」を探す旅へ

今回ご紹介した「エスプレッソ40ml:ミルク120ml(1:3)」という黄金比や、「60℃〜65℃」という温度管理は、あくまで失敗しないためのベースライン(基準点)です。

家淹れ珈琲研究所が目指すのは、あなたがこれらの数値を理解した上で、自分の好みに合わせて自由にチューニングできるようになることです。

  • もっと濃い味が好きなら:ミルクを80mlに減らして「フラットホワイト」風に。
  • もっと甘みが欲しいなら:ミルク温度を65℃ギリギリまで上げてみる。
  • 量が物足りないなら:迷わずカプセルを2個使って「ダブル・ラテ」にする。

次にキッチンに立つとき、それは単なる「作業」ではなく、理想の一杯を追求する楽しい「実験」となるはずです。

美味しいラテ作りには、マシンや道具のメンテナンスも欠かせません。当ラボでは、さらに深掘りしたい方向けに、以下の専門ガイドを用意しています。

☕ 次に読むべき「家淹れ」ガイド

それでは、良きコーヒーライフを。

📚 参考文献・出典

本記事は、以下の公式情報および科学的知見に基づき、家淹れ珈琲研究所が検証・執筆しました。

※記事内の検証データ(温度変化・抽出比率)は、当ラボの実測値(n=20抽出平均)に基づくものです。

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